電気代削減のために自宅の電気料金プランを、大手電力会社の家庭向け規制料金プラン(従量電灯~)にしている方もいらっしゃると思います。
そこで本記事では、家庭向け規制料金プランの契約者向けに、電気代削減のために押さえておくべきポイント「ひと月の電気使用量120kWh・300kWhの壁」についてご紹介します。
※北海道のみ、300kWhではなく280kWhの壁です
このポイントを把握すれば、闇雲に節電をするのに比べ、コスパ良く(効率的に)電気代を削減しやすくなります。
皆さんの電気代削減に貢献できれば幸いです。
1.ひと月の電気使用量120kWh・300kWhの壁とは何か
ひと月の電気使用量120kWh・300kWhの壁とは、
電気料金(電力量料金)の「単価(1kWhあたりの価格)」が上昇する境界のことです。
※北海道のみ、300kWhではなく280kWhの壁です
そのため、ひと月の電気使用量が120kWh・300kWhを超えるたびに、請求される電気料金の上昇ペースが速くなります(上昇の角度が高くなります)。
これを、三段階料金制度と言います。
三段階料金制度を図解にすると、120kWh・300kWhの地点に、断層ができています。
これが、120kWh・300kWhの「壁」です。(私が勝手に命名)
出典:沖縄電力,Q.電気料金が三段階になっているのはなぜ?,2023年1月7日時点
https://www.okiden.co.jp/faq/article/faq-02.html#q4
このことを踏まえると、節電をするにあたっては、
ひと月の電気使用量が120kWh・300kWhを超えないように意識をする
ひと月の電気使用量が120kWh・300kWhを超えそうになった/超えたタイミングで、節電のレベル感を引き上げる
といったことを意識すると、コスパ良く(効率的に)電気代を削減しやすくなります。
一方で、読者の方の中には、
「ひと月の電気使用量が120kWh・300kWhを超えそうになったタイミングで節電のレベル感を引き上げる、などと言われても、ひと月のリアルタイムの電気使用量なんてどう把握すればいいの?」
との疑問を抱く方もいるかもしれません。
回答としては、皆さんのご自宅に設置されている電力メーター(電力量計)をご覧ください。
電力メーターがスマートメーター(*1)の場合は、各社のwebサイト(*2)上で、今月の(ほぼ)リアルタイムの電気使用量が確認できると思います。
(*1)スマートメーターとは(東電webサイト)
(*2)例えば東電の場合はくらしTEPCO web
電力メーターが旧型の場合は、直近の検針票に記載されている「当月指示数」という値と、電力メーターの現在の値を差し引きすると、今月のリアルタイムの電気使用量が確認できると思います。
2.各社の120kWh・300kWhの壁の実例
◆東京電力エナジーパートナー 従量電灯B
東電の家庭向け規制料金プラン従量電灯B の電力量料金単価は次の表の通りで、
120kWh・300kWhを超えるたびに電力量料金の単価(1kWhあたりの価格)が高くなっています。
出典:東京電力エナジーパートナー,従量電灯B・C,2024年1月16日時点
https://www.tepco.co.jp/ep/private/plan/old01.html
◆関西電力 従量電灯A
関電の家庭向け規制料金プラン従量電灯A の電力量料金単価は次の表の通りで、
120kWh・300kWhを超えるたびに電力量料金の単価(1kWhあたりの価格)が高くなっています。
出典:関西電力,従量電灯A,2024年1月16日時点
https://kepco.jp/ryokin/menu/dento_a/
◆北海道電力 従量電灯B
北海道電力の家庭向け規制料金プラン従量電灯B の電力量料金単価は次の表の通りで、
120kWh・280kWhを超えるたびに電力量料金の単価(1kWhあたりの価格)が高くなっています。
出典:北海道電力,従量電灯,2024年1月16日時点
https://www.hepco.co.jp/home/price/ratemenu/meterratelight.html
残りの7社の実例は、下記のリンク先(各社のwebサイト)でご覧ください。
◆東北電力 従量電灯B
◆中部電力ミライズ 従量電灯B
◆北陸電力 従量電灯B
◆中国電力 従量電灯A
◆四国電力 従量電灯A
◆九州電力 従量電灯B
◆沖縄電力 従量電灯
ちなみに、各大手電力会社の規制料金プラン以外のプラン(=自由料金プラン)や、新電力の料金プランでも、下記のリンク先(各社のwebサイト)のとおり、120kWh・300kWhの壁がある場合もあります。
◆東京電力エナジーパートナー スタンダードS
◆ENEOSでんき 東京Vプラン
◆東京ガス 基本プラン
3.120kWh・300kWhの壁が導入された背景・目的
上記1で先述したように、三段階料金制度が採用されている電気料金プランでは、ひと月の電気使用量が120kWh・300kWhを超えるたびに、電気料金(電力量料金)の「単価(1kWhあたりの価格)」が上昇し、請求される電気料金の上昇ペースが速くなります。
このことについて、疑問を抱いた方もいるかもしれません。
一般的に、モノやサービスは、たくさん購入すればするほど単価が安くなる(*)にもかかわらず、三段階料金制度が採用されている電気料金プランでは、逆に単価が高くなるからです。
(*)例えば、ペットボトル飲料だと、1本だけ買うのと箱買い(まとめ買い)するのとでは、箱買いの方が1本あたりの値段は安くなると思います
実はこの三段階料金制度は1974年に政策的に(国の意向を受けて)導入されたもので、次の目的が反映されているそうです。
◆省エネルギー化の推進
オイルショック(1973年)を受けて、日本のエネルギー安全保障の観点から、電気(≒火力発電で使用する化石燃料)の浪費を抑制する。
◆高福祉社会の実現
国民の貧富の格差(格差社会)が表面化してきたことを受けて、日常生活に必要最低限の電気使用量については割安な単価、浪費レベルの電気使用量については割高な単価を設定し、格差の拡大を抑制する。
個人的な感想としては(妻と子供がいる身としては)、
三段階料金制度は、1人暮らしには有利で、同居人数が多くなるほど不利になるので(日常生活に必要最低限の電気使用量も多くなるので)、「やめてほしいな~」と思います。
まあ、東京都環境局のwebサイトに掲載されているデータによると、
「4人家族でも、ひと月の電気使用量を300kWh以内で暮らしている省エネ家庭もある」ようですが。
※詳細は、次の記事の「4.住居形態別・世帯人数別の一世帯あたりの平均電気使用量」をご覧ください
まとめ
節電でコスパ良く(効率的に)電気代を削減しやすくするため、120kWh・300kWhの壁について説明してきました。
ひと月の電気使用量が120kWh・300kWhを超えるたびに電気料金(電力量料金)の「単価(1kWhあたりの価格)」が上昇するなんて、意外だったと思います。
また、この仕組み(三段階料金制度)が採用された背景については、納得できるところもある一方で、納得できないところもあったかもしれません。
ただ、いずれにしろ、三段階料金制度が採用されている電気料金プランを契約している人にとって重要なことは、節電の際には120kWh・300kWhの壁を意識することだと思います。
知識武装をして、コスパ節電で電気代を削減しましょう☆
今回は以上になります。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!