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電気代

【2023年5月追記】現状で「避けるべき」電気料金プラン・「無難な」電気料金プラン

電気料金プランアイキャッチ
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電気料金の値上げに関する話題を、2022年以降、ニュースでよく目にするようになりました。
※参考:読売新聞オンラインの記事(2022年10月22日)

電気代が高くなっている状況だと、ご家庭の電気料金プラン(電力会社)の乗換えを検討される方も多いと思います。

少しでも電気料金を安くしたいですよね。

ただ、私としては、
電気料金の制度やプランに詳しくない方が、
本記事執筆時点(2022年11月時点)のように、
日本でのメインの発電方式である火力発電の燃料(化石燃料)価格が高騰している状況で電気料金プラン(電力会社)の乗換えをすると、

「乗換えをしたことで電気料金が高くなった」という予想外の事態が発生する可能性がある
と思っています。

このような事態を避けるために、皆さんにオススメの電気料金プランを紹介できれば理想的なのですが、現状では難しいのが実情です。

なぜなら、2022年に入ってから電気の小売り業界(小売電気事業)は大荒れ状態で、
具体的には、料金プランの新規申込停止・料金プランの内容変更(改悪)・電力会社の倒産や小売電気事業からの撤退が相次いでおり、
オススメの電気料金プランの移り変わりが激しいからです。
※<参考>帝国データバンク 業界動向記事(2022年6月13日)

一方で、現状(化石燃料の価格が高騰している状況)で
避けるべき電気料金プランと、
無難な電気料金プランであれば、
ご紹介できます

そこで今回は、これらの電気料金プランをご紹介していきます。

なお、本記事は、次の記事をベースに執筆しています。

乗り換えのコツ
電気料金プラン(電力会社)の乗換え前には「燃料費調整制度」を要チェック 電気料金プラン(電力会社)の乗換えを検討する際、 料金プランごとの燃料費調整制度の内容を確認しているでしょうか? 「何そ...

上記記事はボリュームがありますが(約1万3千字)、その分詳細な情報が詰まっているので、本記事を読み終わった後には、コチラも是非ご覧ください。

※本文内の画像類は、クリック/タップすれば、拡大表示されます。

 

1.現状で「避けるべき」電気料金プランとは

いわゆる市場連動型の電気料金プランです。

「電源調達調整費」を導入している電気料金プランも、市場連動型の電気料金プランの一種になると認識しています。
※参考:経済産業省の2021年1月29日のニュースリリース「『市場連動型』の電力料金プランを契約されている消費者の皆様へ」内の、1のなお書き箇所を参照。

市場連動型の料金プラン(経済産業省)

出典:経済産業省,ニュースリリース,2021年1月29日
https://www.meti.go.jp/press/2020/01/20210129003/20210129003.html

 

なお、電力会社によっては、「電源調達調整費」という名称ではなく、「卸電力調整額」や「燃料費調整額の追加調整」という名称を用いている場合もあります。

 

市場連動型の電気料金プランは、
日本卸電力取引所(略称:JEPX)での電気の卸市場価格に応じて、電気料金が値上がりしたり値下がりしたりします。
※<参考:日本卸電力取引所について>EnergyShiftの記事(2019年6月22日)

この料金プランのポイントは、「本記事執筆時点のように化石燃料価格が高騰する局面等においては、電気の卸市場価格の上昇により、電気料金が割高になる可能性が高く、さらには高騰する可能性もある」点だと認識しています。

実際のところ、2022年の全国的な電気の卸市場価格(スポット市場の月平均のシステムプライス)は、1kWhあたり20円を超える月が大半で、非常に高いです。
※<参考:日本卸電力取引所での電気の市場価格の推移>JEPX information

私個人の感覚では、電気の卸市場価格(スポット市場の月平均)が1kWhあたり12~13円を超えると「(託送料金や人件費等のその他原価を加えた小売価格の相場からして)高くなってきたな~」と感じます。
※<参考:託送料金について>エネチェンジwebサイト

そのため、現状でこの電気料金プランに乗換えると、「乗換えをしたことで電気料金が高くなった」という事態になる可能性が高いことから、避けるべきだと考えています。
※家族・友人が乗換えようとしていたら、全力で止めます。

要するに、この料金プランを選ぶのは「今じゃないでしょ!」という考えです。

 

2.現状で「避けるべき」電気料金プランの具体例

エネチェンジのwebサイトに、電源調達調整費を導入している/導入予定の電気料金プランの「一例」として、次のリストが掲載されています。

HTBエナジー(たのしいでんき)や、楽天エナジー(楽天でんき)といった、知名度のある電力会社の料金プランも見受けられます。

電源調達調整費を導入済みの新電力一例(エネチェンジ)

出典:エネチェンジ,
電源調達調整費とは?独自燃調を扱っている新電力・電力会社はどこ?,
2022年11月1日時点

https://enechange.jp/articles/power-procurement

 

また、同じくエネチェンジのwebサイトに、電源調達調整費タイプではない市場連動型の電気料金プランを導入している/導入予定の電力会社の「一例」として、次の会社が挙げられています。

◆自然電力
◆ダイレクトパワー
◆テラエナジー
◆ハチドリ電力

 

 追記(2023年1月30日) 

楽天でんきの2023年1月分の電気代が高騰しました。

詳細は、次の記事をご覧ください。

差額まとめ表ぼかし最大
【2023年1月分】楽天でんき高くなった?大手電力の規制料金プランと電気代バトル ということで、2023年1月分の電気料金について、 楽天でんき(楽天エ...

 

 追記(2023年4月12日) 

先程のリストに載っているグランデータの電気代が高騰しすぎて、Twitter上で炎上し、テレビ番組でも取り上げられています。

実際、後述する「現状で無難な電気料金プラン」の2倍以上の電気代になっているケースもあります。

詳細は、次の記事をご覧ください。

oneでんき1月分アイキャッチ(ぼかし抜き)
【2023年1月分】グランデータのONEでんき高騰!大手電力の規制料金プランと電気代バトル ということで、2023年1月分の電気料金について、 グ...
アイキャッチ(グランデータ電気代高騰)
【グランデータ電気代高騰の原因】突き詰めて調べたら「利益デカ盛り」疑惑が浮上 ということで、今回は「グランデータの電気代が高騰した原因」について、突き詰めて調べてみま...

 

 追記(2023年5月22日) 

先程のリストに載っているJapan電力公式webサイトで、
2023年5月・6月分の「燃料費”等”調整額(いわゆる電源調達調整費)の単価」が安くなったことに伴う電気代の値下がり具合を大々的にPRしています

Japan電力1

出典:Japan電力,電気乗り換えはJapan電力,2023年5月22日時点
https://www.japaden.jp/lp23/

 

Japan電力2

出典:Japan電力,電気乗り換えはJapan電力,2023年5月22日時点
https://www.japaden.jp/lp23/

 

しかし、少なくとも私自身は乗換えませんし、家族や友人にもオススメしません。

なぜなら、「2023年3月から低価格になった電気の卸市場価格は、諸々の世界情勢を踏まえると、年内には再び高騰するリスクがある(楽観視できる状況ではない)」と予想しているからです。
※あくまで私個人の予想です。
※参考:NHK(2023年1月25日記事)読売新聞オンライン(2023年5月16日記事)

ちなみに、Japan電力も公式webサイトで、「今後も低単価が続くことを保証するものではありません」と記載しています。

Japan電力3

出典:Japan電力,電気乗り換えはJapan電力,2023年5月22日時点
https://www.japaden.jp/lp23/

 

ただ、電気の卸市場価格が「今後上がるのか下がるのか」は、
日経平均株価が今後上がるのか下がるのかと同じように、
正確・完璧な予想は誰にもできません。

 

3.現状で「無難な」電気料金プランとは

各地域の大手電力会社(東電・関電など)が提供する規制料金プランです。
※電気給湯器などの電化設備のある家庭では、電化向けの料金プランの方が良いと思います。

特に、電気料金の制度やプランに詳しくない方にとっては、無難な選択肢だと考えています。

なぜなら、この規制料金プランでは、化石燃料価格が高騰しても、それに伴う(=燃料費調整制度による)電気料金の値上げに上限が設けられており
本記事執筆時点(2022年11月時点)で既に、すべての大手電力会社の規制料金プランで、この値上げの上限値に到達していることから、
これ以上の値上げには、経済産業大臣の審査・認可が必要だからです。
※規制料金プランに適用される燃料費調整制度の概要は、資源エネルギー庁のwebサイトおよび電気事業連合会のwebサイト(f-2の箇所)をご覧ください。

 

<参考:燃料費調整の上限あり・なしの違い>
燃調の比較図

出典:東京ガス,燃料費調整制度,2023年1月11日時点
https://home.tokyo-gas.co.jp/power/ryokin/shikumi/chousei.html

 

そして本記事執筆時点では、この規制料金プランは既に、相対的に割安な価格になってきています。
※参考:産経新聞webサイトの記事(2022年8月30日)

 

ただ残念なことに、2022年9月~11月にかけて、大手電力会社である東京電力エナジーパートナー・東北電力・北陸電力・中国電力・四国電力・沖縄電力は、規制料金プランについて、経済産業大臣の審査・認可を経ての値上げをする/値上げを検討している旨を表明しました。
※実際に値上げされる時期は、経済産業大臣による審査・認可のプロセスを踏まえると、最速でも2023年4月だと思います。

そして、残りの大手電力会社4社も、化石燃料価格の動向や財務状況からして、上記6社と同様に値上げをする可能性はソコソコあると思っています。
※残りの4社は本記事執筆時点で値上げについて言及していないことから、値上げをするにしても、値上げの時期は、上記6社よりも遅くなると思いますが。

 

とは言え、規制料金プランは、その名の通り国(経済産業大臣)による価格規制がなされていて、先述した通り値上げには経済産業大臣の審査・認可が必要なため、値上げ幅は合理的な範囲内におさまる(少なくともボッタクリ価格にはならない)と思われます。

また、2022年11月4日に、経済産業大臣である西村氏は
「今後、仮に電力会社から規制料金の値上げ申請があった場合には、これまでも述べていますとおり、経営効率化の取組がしっかりと行われているか、また燃料調達の費用の見込みが妥当であるか、また保有資産の活用は適切であるか、こういったことを含めて厳格に審査を行っていく考えであります。したがって、安易な値上げ等をするようなことにはならないと考えております
と発言しています。
※<参考>西村経済産業大臣の閣議後記者会見での発言 (2022年11月4日)

西村大臣発言

出典:経済産業省,西村経済産業大臣の閣議後記者会見の概要,2022年11月4日
https://www.meti.go.jp/speeches/kaiken/2022/20221104001.html

 

要は、規制料金プランは、値上げ後も国(経済産業大臣)のお墨付き価格ということです。

以上の点を踏まえると、「規制料金プランで電気料金が高騰するとは思えない」という消去法的な発想ですが、電気料金の制度やプランに詳しくない方にとって、規制料金プランは現状での無難な選択肢だと考えています。

 

 追記(2022年12月17日) 

東北電力・北陸電力・中国電力・四国電力・沖縄電力は、2022年11月24日~30日にかけて、規制料金プランの値上げを、経済産業大臣に申請しました。

なお、実際に値上げされる時期は、経済産業大臣による審査・認可のプロセスを踏まえると、最速でも2023年4月だと思います。

一方、東京電力エナジーパートナーは、現時点でも、規制料金プランの値上げについて、経済産業大臣に申請していません。

 

 追記(2023年1月1日) 

時事通信社(*)によると、関西電力の社長は、家庭向けの規制料金プランの値上げについて慎重な考えを示したそうです。
(*)時事通信ニュース2022年12月15日記事

共同通信社(*)によると、九州電力の社長は、家庭向けの規制料金プランの値上げについて回避できる可能性を示したそうです。
(*)Yahoo!ニュース(共同通信社)2023年1月1日記事

上記2つのニュースから、個人的な感覚としては、
関西電力・九州電力は、当面の間は規制料金プランの値上げ(*)をしない可能性が高まったことから、
関西電力・九州電力の規制料金プランは、現状では「無難」を超えて「オススメ」できる状況になりました。
(*)託送料金の値上げ分を反映する値上げを除く。

 

 追記(2023年1月27日) 

東京電力エナジーパートナーは、2023年1月23日に、規制料金プランの値上げを、経済産業大臣に申請しました。
東電のプレスリリース(2023年1月23日)

北海道電力は、2023年1月26日に、規制料金プランの値上げを、経済産業大臣に申請しました。
北海道電力のプレスリリース(2023年1月26日)

なお、実際に値上げされる時期は、経済産業大臣による審査・認可のプロセスを踏まえると、最速でも2023年6月だと思います。

 

 追記(2023年4月12日) 

東北電力・北陸電力・中国電力・四国電力・沖縄電力の規制料金プランの値上げ時期は、6月以降に(先送りに)なる見通しとなりました。

なぜなら、値上げ申請に対する国の審査が長引いているからです。
※参考:Yahoo!ニュース(共同通信社)2023年4月11日記事

 

 追記(2023年5月22日) 

日経新聞(*)によると、中部電力の社長は、家庭向けの規制料金プランの値上げについて「今のところ値上げは考えていない」との発言を2023年4月にしたそうです。
(*)日経新聞2023年5月20日記事

また、中部電力の、
2022年度決算は、純利益382億円で、
2023年度業績見通しは、純利益2,300億円の見込み、
とのことです。
※参考:日経新聞2023年4月28日記事

以上のことから、個人的な感覚としては、
中部電力ミライズは、当面の間は規制料金プランの値上げをしない可能性が高まったことから、
中部電力ミライズの規制料金プランは、現状では「無難」を超えて「オススメ」できる状況になりました。

 

 追記(2023年5月22日) 

北海道電力・東北電力・東京電力エナジーパートナー・北陸電力・中国電力・四国電力・沖縄電力の規制料金プランの値上げ申請が認可され、
2023年6月から値上げが実施されることになりました。
※参考:時事通信ニュース2023年5月19日記事

規制料金値上げ率

出典:時事通信ニュース,2023年5月19日記事
https://sp.m.jiji.com/article/show/2947971

 

この7社の規制料金プランの値上げ時期・値上げ率が確定したことを受けて、
この7エリアでは、他の電気料金プラン(大手電力会社の自由料金プラン・大手以外の電力会社の料金プラン)も、
後出しジャンケン的な形で、続々と値上げされていくと思われます。

そのため、今後も、この7社の規制料金プランが「相対的に割安な価格」であり続けるかは、未知数です。
※少なくともボッタクリ価格にはならないです。

 

4.現状で「無難な」電気料金プランの具体例

家庭向けの規制料金プランは、次の通りです。
※規制料金プランにも、農事用電力など、色々と種類があります。

◆北海道電力 従量電灯B
◆東北電力 従量電灯B
◆東京電力エナジーパートナー 従量電灯B
◆中部電力ミライズ 従量電灯B
◆北陸電力 従量電灯B
◆関西電力 従量電灯A
◆中国電力 従量電灯A
◆四国電力 従量電灯A
◆九州電力 従量電灯B
◆沖縄電力 従量電灯

各社それぞれの規制料金プランが契約できる地域は限定されており、
例えば、自宅(電気の使用場所)が埼玉県の場合は、
北海道電力の規制料金プランは契約できず、
契約できる規制料金プランは東京電力エナジーパートナーのものだけです。

規制料金プランへの乗換え手続きが、電話でのみ受付(=ネット手続き不可)の会社もあります。

例えば、東京電力エナジーパートナーがそうです。

東電(他社から乗換えweb申込)出典:東京電力エナジーパートナー,電気プラン切替申込み,2023年1月6日時点
https://www.move.tepco.co.jp/rcpt/change/apply/judge?applyClass=2#_ga=2.70186451.2112351127.1672961442-1477122568.1665558209

 

 

まとめ

私は自分が電気料金プランの乗換えを初めて実施した2017年以降、家庭向けの電気料金プラン(電力会社)を断続的にチェックしてきましたが、2022年は激動の年だと感じています。

火力発電に使用される化石燃料価格の高騰等により、電気料金がドンドン値上げされていき、
電気料金が安いと注目していた電力会社が、次々と倒産をしたり、事業撤退をしていきました。
※<参考>電気新聞webサイトの記事(2022年4月11日)

このような状況からして、電力会社が事業継続のため(高騰する電気の仕入れコストを電気料金に反映するため)に、既存の電気料金プランを市場連動型の電気料金プランに内容変更すること(=現状では電気料金を値上げすること)は、仕方のないことだと思います。

ただ、そもそも電気料金の制度は複雑ですし、さらには多くの人(電気使用者)は電気料金の制度(*)について詳しくないと思います。
(*)エネチェンジ等の電気料金比較サイトで、各社の電気料金プランの試算結果を見比べる上での注意点(例:燃料費調整について上限の有無や最新の単価が反映されているかチェック)も含みます。

そのため、市場連動型の電気料金プランのリスクを正しく認識しないまま、この電気料金プランを契約する方も発生してしまうと思います。

本記事は、そのような方の発生を少しでも抑制できればと思い、市場連動型の電気料金プランのリスクと、規制料金プランの無難さについて、ご紹介しました。

 

今回は以上になります。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!